皆さんこんにちは、クーペです。
今回は、建設業に携わっている方はよく耳にする「建退共」について、制度のしくみとメリットについて、そして具体的な手続きの流れと気をつけるポイントを説明していきます。是非、最後までご覧ください。
建退共とは?概要と制度のしくみ
建退共制度は、建設現場で働く人のために、国が作った退職金制度のことです。建設業の事業主が建退共を運営している機構と退職金共済契約を結んで共済契約者となります。その後、建設現場で働く労働者(被共済者)一人につき1冊ずつ共済手帳が交付されます。その共済手帳に労働者が働いた日数に応じて、共済証紙を貼っていき、その労働者が建設業で働くことををやめた時に、これまで積み立てた分が退職金として運営機構より労働者に直接支払われます。
建退共加入のメリットは?
それでは、建退共加入のメリットについて、建設事業者と労働者それぞれの立場でみていきましょう。
建設事業者のメリット
●公共工事を受注しやすくなる
公共工事の入札に参加するための経営審査事項において、建退共に加入している場合は加点評価となります。したがって公共工事を受注しやすくなります。また公共工事はもちろんですが、ある程度、規模の大きな工事になってくると建退共に加入していることが当たり前のような場面に出くわします。具体的に言うと、共済契約者証や証紙を購入したことを証明する掛金収納書等のコピーの提出を求められるなどです。建退共の加入は義務ではありませんが、このような実情があるのが現実です。規模の大きな工事を受注していくには加入を検討する必要があるでしょう。
●掛金の助成制度がある
建退共は労働者一人一人に共済手帳が交付され、その共済手帳に証紙を貼っていくことで掛金が積み立てられていきますが、初めて交付される1冊目の共済手帳には掛金助成として50日分が免除されています。これは事業主の負担を軽減するため、国の補助により免除されています。証紙は1日券が1枚310円ですので、50日分の助成で一人あたり15,500円分の助成があることになります。これは建設事業者にとってメリットであるといえるでしょう。
●雇用が安定する
会社が建退共に加入していると、労働者にとってもメリットがあるので雇用が安定しやすくなるといえるでしょう。建退共に加入している会社で長く働くことで退職金の金額が増えていくので、労働者が安心して働ける環境を作ることが可能です。
●掛金は損金扱いにできる
証紙は建設事業者が購入しますが、その代金は、法人企業の場合は損金として全額免税になります。また、個人企業の場合は必要経費として全額免税になります。
労働者のメリット
●金銭的負担がなく退職金を準備することができる
退職金の掛金は会社が負担をするので、労働者は負担なく退職金を準備することができます。また建退共は会社が独自に準備している退職金とは別です。会社独自の退職金制度がある場合は、退職時に会社独自の退職金と、建退共の退職金を受け取ることができます。
※建退共の退職金を受け取ることができるのは建設業で働かなくなった時です
●建退共の退職金は労働者に直接振り込まれる
建退共の退職金は、運営機構から労働者へ直接振り込まれます。会社を通してではなく、運営機構から振り込まれるので安心して退職金を受け取ることができます。
●掛金日数は通算されていく
建退共の掛金は通算されていきます。会社を退職し、別の建設事業会社で働く場合、従前の会社で使用していた共済手帳を提出します。その共済手帳に証紙を貼ってもらうことで掛金が通算されていきます。建設業で働く場合、この共済手帳を持っていることで、どこで働いていても将来の退職金を積み立てることができ、これは労働者にとって大きなメリットといえるでしょう。
建退共の手続き方法は?
建退共の制度が分かったところで、ここからは実際の手続き方法についてを説明していきます。建退共に加入する時の手続きと、加入後の手続きに分けて説明をしていきます。加入後の手続きは毎月の業務にもなっていくので必見です。
建退共に加入する時の手続き
事業主が建退共に加入する場合、共済加入契約申込書と共済手帳申込書に必要事項を記入し、各都道府県支部で申し込みをする。(記入した申請書を郵送もしくは持ち込みする)
上記の申込みに基づき、共済契約が結ばれると共済契約者証と共済手帳が事業所に送られてきます。共済契約者証は建退共と契約を結んだことの大事な証明です。証紙を購入する際には提示が必要となります。また、工事に入場する際に建退共に加入していることの証明として共済契約者証のコピーの提出を求められることもありますので紛失しないように大切に保管をしておきましょう。
共済手帳受払簿は労働者の共済手帳を一覧で管理する表のことです。書式は建退共のホームページからダウンロードができます。手帳が新規に交付された時点で共済手帳受払簿を作成します。また共済手帳の更新や、退職により手帳を本人へ返却した場合など、手帳の全ての動きを共済手帳受払簿に記録していきます。
建退共加入後の手続き
必要な日数分の証紙を購入します。証紙を購入する時は、掛金収納書に必要事項を記入した後、金融機関の窓口へ提出して証紙を購入します。その際、共済契約者証を窓口で提示します。掛金収納書は複写式になっています。掛金収納書の控えは大切に保管しておきましょう。公共工事の時などに提出を求められる場合があります。
労働者の共済手帳に必要な日数分の証紙を貼り付けます。1冊目の共済手帳の場合は助成分がありますので200日分の証紙を貼ることができます。2冊目以降は250日分です。決められた日数を超えた証紙を貼らないように注意しましょう。
共済証紙受払簿は証紙を管理する表のことです。書式は建退共のホームページからダウンロードができます。この表で証紙の購入日数や、貼付日数、残数を管理していきます。証紙に変動があったら、その都度、共済証紙受払簿に記入していきましょう。
共済手帳がいっぱいになったら手帳の更新を行います。手帳更新申請書に必要事項を記入し、建退共の各都道府県支部へ提出します。更新が済むと新しい手帳が送られてきます。
建退共で気をつけるポイント
●掛金収納書は保管をしておく
証紙を購入した時の控えである掛金収納書は必ず保管をしておきましょう。公共工事の時などに提出を求められる場合があります。
●共済手帳の更新時は証紙の繰越分に気をつける
共済手帳の日数が満了したら手帳の更新を行い、新たな手帳に証紙を貼り付けていくことになります。この新たな共済手帳が届いたら、初めに前の共済手帳に貼り付けられなかった繰越分を貼り付けるようにしましょう。この繰越分の貼り付けを忘れてしまうことも多いので注意しましょう。
●エクセルなどで個人別の管理表を作成しておく
労働者が、どの現場に入り、証紙が何日分必要なのかを月ごとに管理できるように管理表を作成しておくとよいでしょう。管理表を作成しておくことで証紙の購入枚数が明確になり業務がスムーズになるでしょう。
●証紙の残数を把握しておく
証紙もお金と同じです。共済証紙受払簿などを利用して証紙の残数をきちんと把握できるようにしましょう。共済証紙受払簿上での残数と実際の証紙の残数を照らし合わせて相違がないことを必ず確認するようにしましょう。
まとめ
- 建退共制度は建設現場で働く人のために国が作った退職金制度のこと
- 労働者一人一人に共済手帳があり、その手帳に証紙を貼付けることで退職金が積み立てられる
- 退職して事業所が変わっても、次の事業所が建設事業会社で建退共に加入している場合、共済手帳を提出することで継続して退職金を積み立てることができる
最後まで読んで下さってありがとうございました!
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